抽象化思考:悩みの「共通点」を見つける心のレンズ
コラム
心理カウンセリングをしていると、さまざまな「具体的なお悩み」を伺います。「職場の人間関係がうまくいかない」「パートナーとの意思疎通が難しい」「子育てでつい感情的になってしまう」など、一つひとつは異なる状況に見えます。
しかし、じっくりとお話を伺い、それらを抽象化思考という心のレンズを通して見ていくと、驚くほど多くの「共通のパターン」や「法則」が見えてくることがあります。
悩みの具体と抽象
例えば、「上司からの評価が気になって、仕事が手につかない」という具体的なお悩みがあるとします。このお悩みを抽象化してみると、以下のような共通点が見えてくるかもしれません。
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「他者の評価」への過度な依存: 自分の価値を他者の評価に委ねてしまい、それが得られないと不安になる。
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「完璧主義」の傾向: 失敗を恐れるあまり、行動にブレーキがかかってしまう。
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「自己肯定感の低さ」: 自分には能力がない、愛される価値がないと感じてしまう。
これらは、職場の人間関係だけでなく、パートナーシップや友人関係、子育てといった他の状況にも共通して現れる心のパターンです。
抽象化思考があなたにもたらすもの
では、この抽象化思考を身につけることで、私たちにどんな良いことがあるのでしょうか?
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問題の本質が見えてくる: 具体的な問題に囚われず、その根底にある心の傾向やパターンを理解できるようになります。これにより、表面的な対処療法ではなく、根本的な解決策を考えやすくなります。
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「また同じことだ…」からの脱却: 「なぜかいつも同じような悩みを繰り返してしまう」と感じることはありませんか? 抽象化思考は、過去の経験から共通のパターンを学び、次に同じような状況に直面した際に、より建設的な選択をする手助けをしてくれます。
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心にゆとりが生まれる: 個々の具体的な問題に一喜一憂するのではなく、より大きな視点で自分の心と向き合えるようになります。これは、「自分だけが特別な悩みを持っているわけではない」という安心感にも繋がり、心にゆとりをもたらします。
あなたも「心の共通点」を見つける旅へ
もしあなたが今、具体的な悩みを抱えているのなら、少しだけ立ち止まって、その悩みの「共通点」や「根底にあるパターン」を探してみてはいかがでしょうか。
「この悩みの裏には、どんな自分の心の癖があるんだろう?」「過去にも似たような感情を抱いたことはなかっただろうか?」
最初は難しいと感じるかもしれません。しかし、意識して考えることで、少しずつあなたの心のレンズは磨かれ、目の前の具体的な事象から、あなた自身の、そして私たち人間の心の奥底に流れる共通のパターンや法則を見つけ出せるようになるはずです。
抽象化思考は、自分自身を深く理解し、より豊かな人生を歩むための強力なツールとなるでしょう。
ご自身の悩みを抽象化して考えてみたいけれど、どうすればいいかわからない、という場合は、ぜひカウンセリングをご検討ください。一緒にあなたの心のパターンを見つけるお手伝いをさせていただきます。