心のシステムを理解する:部分ではなく全体で捉える視点
コラム
私たちは日々の生活の中で、様々な問題に直面します。
人間関係の悩み、仕事のストレス、子育ての不安など、一つ一つの問題に焦点を当てて解決しようと努力します。
もちろん、それは大切なことですが、時には、なぜか同じような問題が繰り返し起きたり、一つの問題を解決しても別の問題が浮上したりすることがあります。
これは、私たちが物事を「部分」として捉えがちだからかもしれません。
「システム思考」で心を紐解く
心理カウンセリングの世界にも、「システム思考」という考え方があります。
これは、物事を単なる個別の要素として見るのではなく、それらが相互にどのように関連し、影響し合っているのかを「全体」として理解しようとする視点です。
例えば、
夫婦喧嘩が頻繁に起きるとします。
多くの人は「夫がもっとこうしてくれたら」「妻がもっとこうすれば」と、相手の行動という「部分」に目を向けがちです。
しかし、システム思考では、夫婦という関係性を一つのシステムとして捉えます。
夫の行動は妻の反応に影響を与え、妻の反応はまた夫の行動に影響を与える、というように、
お互いが「循環」の中で影響し合っていると考えるのです。
私たちの心も一つのシステム
私たちの心も同じです。
例えば、仕事でストレスを感じているとします。
そのストレスは、単に仕事だけの問題でしょうか?
もしかしたら、睡眠不足が続いていたり、家庭での役割が多すぎたり、自分の完璧主義な性格が影響していたりするかもしれません。
これら一つ一つの要素は、ばらばらに存在しているのではなく、複雑に絡み合い、互いに影響し合って、最終的に「ストレス」という形で現れているのです。
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感情:怒り、悲しみ、不安、喜びなど、様々な感情は独立して存在するのではなく、互いに関連し、影響し合っています。
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思考:過去の経験からくる思い込み、未来への不安、自己評価など、私たちの思考パターンも感情や行動に深く影響を与えます。
- 行動:無意識の習慣、対人関係での振る舞い、ストレス対処法なども、心のシステムの一部です。
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身体の反応:頭痛、肩こり、胃の痛みなど、身体的な不調も、心の状態と密接に結びついています。
これらの要素がどのように連動し、どんなパターンを形成しているのかを理解することで、これまで見えなかった問題の「本質」が見えてくることがあります。
システム思考を実践するヒント
では、どのようにすればシステム思考を日々の生活に取り入れられるでしょうか?
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問題の背景を探る: 何か問題が起きたとき、その直接的な原因だけでなく、「なぜこの問題が起きているのだろう?」「他にどんな要因が絡んでいるだろう?」と考えてみましょう。
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関係性を意識する: 他者との関係性、自分自身の感情と思考、行動と身体の反応など、様々な要素がどのように影響し合っているのかを観察してみてください。
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パターンを見つける: 繰り返し起きる問題や感情のパターンに気づくことができれば、それはシステムの特性を理解する手がかりになります。
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視点を変えてみる: いつもとは違う視点から物事を眺めてみましょう。例えば、相手の立場に立ってみたり、少し距離を置いて全体を眺めてみたりするのも有効です。
最後に
システム思考は、物事をシンプルに捉えがちな私たちの思考に、より深く、多角的な視点を与えてくれます。
複雑に絡み合った心のシステムを理解することは、一見遠回りのように感じられるかもしれません。
しかし、全体像を把握することで、根本的な解決策を見つけ出し、より持続的な心の安定へと繋がる道が開かれるでしょう。
もし、ご自身の心のシステムについて深く掘り下げてみたいと感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。